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マスク着用を拒否して解雇されたアトピー患者の主張とは

2021.04.06

新型コロナウイルスの感染拡大は収まる様子がなく、感染予防としてマスクを着用することが当たり前の風景になりつつあります。
マスク着用は自身が感染しないための予防だけではなく、他人に感染させないための手段の1つとも言えるでしょう。
しかし、マスク着用を拒否したことで雇用の打ち切りにあった契約社員がいます。
実はアトピーの持病があるという社員でしたが、このような場合は不当解雇になるのでしょうか?

マスク着用拒否で雇用の打ち切り

コロナ禍で外出や職場など人の集まる場所ではマスクを着用することが感染予防とされています。
しかし、マスク着用を拒否したKDDIの子会社「KDDIエボルバ」の契約社員の男性が、不当に雇用を打ち切られたとして訴訟を起こしたのです。
この男性は2015年から契約社員として働いており、3~6カ月ごとに雇用契約を更新していました。
しかし、上司にマスク着用を求められたものの、着用しなかったことを理由に雇用が打ち切られました。

マスク着用拒否の理由は「アトピーの持病」

そもそもこの男性がなぜマスク着用を拒否したのかというと、アトピーの持病があったからです。
過去にマスクの影響でアトピーがひどくなった経験があり、コロナ禍では会社に支給されたマウスシールドを着用して仕事をしていたそうです。
上司にマスクの着用を求められた際には、医師の診断書や別室での業務などの代替案も提出をしています。
しかし、会社側からは職場の安全管理や秩序維持の観点で就業規則に反すると通告され、雇用を打ち切られたのです。

病気を主張にしたマスク着用拒否は不当解雇の理由になるのか?

マスク着用によって持病が悪化することを避けたいという男性の主張は当然のことです。
しかしながら、会社としては他の社員に衛生的な環境を提供する義務があります。
労働安全法では事業者に対し、健康障害を防止するために必要な措置を講じることで快適な職場環境の実現を確保しなければならないことが規定されています。
そのため、この問題はどちらの主張も適切だと言えるので、今後の判決が注目されることでしょう。

今回紹介した問題だけではなく、コロナ渦ではさまざまな労働問題が生じています。
とくに契約社員の不当解雇問題は多く、不当解雇に遭って悩まされている方も多いでしょう。
もし解雇理由が不当であると考える場合には、専門家である弁護士に相談してみてください。